【前編】たわらが立ち上げたい物語とは?「幼女としゃべる犬理論」??

「さて――」名探偵は依頼人の眼の前で変装を解き、彼女の嘘をゆっくりと暴きはじめた。

 

たわらはいったいどんな物語を書きたいのか。「クジラのサーカス舞台裏」と冠したこのブログには、「物語が物語になるまでの物語」と副題がつけられています。そんな大袈裟なタイトルを構えているくせに、お前さんが立ち上げたい物語は何ひとつ説明されていないじゃないか、と思うかもしれません。

伝えたい物語こそ、物語で伝えるべきだ、とたわらは思っていたのです。かっこつけていたのです。ですが、今回は「たわらが立ち上げたい世界」について思いきって語ってみたいと思います。

作家としての魂がなくなってしまうんじゃない、とご丁寧に心配してくれる方もなかにはいるかもしれません。たわらもそう考えていました。が、「宣言する」という行為は、それを補うにはあまりある効果があるのではないか、とも考えはじめたのです。人を惹きつけますし、なによりも自分を裏切ることを許しません

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「 幼女としゃべる犬理論」

結論から言えば、たわらが目指す物語とは「しゃべる犬」のような存在です。前々から胸の中に秘めていた「幼女としゃべる犬理論」をご紹介します。変な目で見ないで、まあ、もう少し話を聞いていってください。きっと退屈しないはずです。

たわらが、こういう物語を書きたい、と思いついたのには、言い換えれば、「幼女としゃべる犬理論」が頭に飛来したのは、あるドッキリ番組を見ていたことがきっかけでした。

そのなかで、2階建ての一軒家に住んでいる幼い娘の問題を解決したい、と母親からの依頼がありました。便宜的に女の子に千夜子(ちよこ)と名前を与えます。

千夜子? この名前にピンと来たかたはこちらもどうぞ。

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千夜子は夜になると、トイレに一人でいけないのです。二階にしかトイレはなく、暗い階段を登らなければなりません。いつもお母さんが付いていかなければなりません。これではお家事が滞りますし、テレビもゆっくりみられません。そこで、お母さんは番組に相談したのです。

番組は、家で飼っているコーギーにマイクを仕掛けました。そして家族は一階のリビングに千夜子を残し、買い物に出かけます。これで全ての準備が整います。

 

そして千夜子に奇跡が起きる。

 

「千夜子ちゃん、千夜子ちゃん」とコーギーは小さく、だが確かに千夜子に声をかける。気のせいか、と思っていた千夜子は、名前を呼ばれていることに気づき、とても驚く。ソファの影にすばやく移動し、クッションで顔を隠す。

「千夜子ちゃん、千夜子ちゃん、いつもお世話してくれてありがとう。毎日散歩も連れて行ってくれて、ありがとう。とても感謝しているよ」千夜子は、クッションから顔を少しだけ上げて、「ほんとにしゃべってる」と、細く、うれしい声を上げる。

「僕のことは好きかい」とコーギーは問いかける。「うん、大好きだよ」と千夜子は恥じらいながら応える。(たわらはこの会話をとても美しく思う。なぜかはわからない。)

「お母さんから、聞いたよ。夜になるとトイレにいけないんだって? どうしてなの?」

「だって、怖い。暗いのが怖い」

「そうだね、暗いのは怖いよね。でもね、僕は知ってるんだ。千夜子ちゃんは一人でトイレに行けるって。いつも元気よく僕と遊んでくれるし、お母さんの家事もお手伝いしている。千夜子ちゃんなら大丈夫だよ、夜の暗さにきっと負けないよ」

「でも怖いよ」

「大丈夫。僕がいうんだもの。いつもそばで千夜子ちゃんのことを見守っている僕がいうんだもの。信じてよ。千夜子ちゃんには暗い階段をものともしない勇気があるってことを」

「……」

「僕は千夜子ちゃんにその勇気があることを信じているよ。僕のことが信じられないかい? 千夜子ちゃんとおしゃべりしている僕を信じられないかい」

「ううん。しゃべってる。ちよこはひとりでトイレいける?」

「もちろん。僕を信じてよ。いままでずっとそばにいた僕が言うんだから間違いないよ。僕を信じて。そして約束してほしい。ひとりでいけるってね」

「うん」千夜子の笑顔は透き通っている。

「もうすぐお母さんが帰ってくる。このことは内緒だよ。僕がきみとおしゃべりしたってことはね。何か最後に言うことはある?」

「……大好き」

「ありがとう。僕も好きだよ。それじゃあ、お母さんには内緒だよ」

 

「ただいま、いい子にしていた?」

「おかーさん、あのね、ゴン太とおしゃべりした。ゴン太ね、おしゃべりできるの。それでね、ちよこはひとりでトイレいけるんだって。だからね、もうひとりでトイレ行けるよ。約束したの」

「ばかなこというんじゃないよ」ゴン太は母親の足に擦り寄り、舌を出し、バウバウと吠える。

それから、千夜子はいつでも二階のトイレにひとりで行けるようになった。

 

冒頭で述べたように、僕が書きたいのは「しゃべる犬」のような物語だ。これでわかっていただけたでしょうか。

よくわかりませんよね。ということで、今回は前編ということで、別の記事に、詳しく書きたいと思います。

【後編】たわらが立ち上げたい物語とは?「幼女としゃべる犬理論」??

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら