「ワープ進化」できるように、と思うようになった、デジモンアドベンチャーのあのシーン

「さてーー」名探偵は誰も救うことにならない真実を憂いながら、真相を口にしはじめた。

劇的な瞬間っていいですよね。人生における幸福な瞬間です。はじめてサッカーでゴールを決めたとき、代打で活躍した瞬間、好きな女性に告白するとき、などなど。目を凝らし、耳を澄ませば、もっといろんな劇的な瞬間があると思います。

では、人生で起きたもっとも劇的な瞬間をさらりと説明できますか? あなたの人生に対する態度に決定的な影響を与えた瞬間を覚えていますか? あなたのクローンを作製するにあたって、この瞬間の記憶はインストールする必要がある、とアドバイスできるような出来事のことです。

僕は説明できます。今回は小学生だった僕をぶち抜いたあの出来事をまとめました。

二大究極進化! 闇をぶっとばせ!!

アニメ「デジモンアドベンチャー」のワンシーン、それを見た瞬間に、僕はあっけにとられ、体中にエネルギーが充満したのをいまでも覚えています。

デジモンアドベンチャーは、選ばれし7人の子供たちとパートナーデジモンの冒険の物語です。さまざまな悪役を倒しながら、子どもたちは成長し、それに応じてデジモンも進化し、強くなります。

そのシーンの前後関係は正確ではないですが、物語の最終局面に近かったと思います。敵はベノムヴァンデモン。究極体でめちゃめちゃ強い。主人公たちのデジモンは完全体までしか進化できません。1対7とはいえども力の差は歴然です。敵と戦うにはこちらも究極進化しなければいけません。

そこで、古代の予言(!)が語られます。「天使たちが その守るべき人の 最も愛する人へ 光と希望の矢を放った時 奇跡がおきた」。天使デジモン二体が、W主人公の二人の男子に矢を放つのです。

大丈夫なのかよ――、失敗したら死んじゃうよ――、でも進化しないと負けちゃう――、どうなっちゃうんだろう――。頭のなかで期待と不安がぐるぐると混ざりあうと、その瞬間が僕の人生に訪れたのです。

 

度肝を抜く演出

掻き鳴らされるエレキギター。アグモンとガブモンのワープ進化の瞬間。成長期から一気に究極体に進化したのです。幼年期→成長期→成熟期→完全体と段階を踏んできた流れとはまったく違いました。うおおおお、僕は言葉を失いました。

めちゃくちゃかっこいい、その気持ちが全身に満ちていました。まさか成長期から究極体に一気に進化するなんて! ここまで劇的な進化があっていいのか!

もちろんいまとなっては古いアニメなので、CG(?)がいまほど洗練はされていません。それでも当時の少年たちの心は鷲掴みにされて、別の世界に連れ去られたに違いありません。

 

幼女としゃべる犬理論との共通点

しゃべる犬が幼い女の子に奇跡を起こす、それが「幼女としゃべる犬理論」です。僕が書きたい小説には、しゃべる犬のような役割を持たせたいのです。

【前編】たわらが立ち上げたい物語とは?「幼女としゃべる犬理論」??

大小を問わない奇跡、つまり読者の大切な何かを望ましい方向へ進めてしまうような劇的な瞬間を小説に立ち上げたい、と思い至ったのには、デジモンアドベンチャーでのワープ進化を見たあの頃に抱いた感情がベースにあるのだと思います。きっと。

読者をワープ進化させるような小説を書きたいのです。そのためには、まずは僕がワープ進化せねばなりません。

 

読んでくださったかた、ありがとうございます。

 

たわら