【誰とでも仲良くしてはいけない】安冨歩「生きる技法」から「友達」について考える

「さて――」名探偵は女を抱き寄せ、耳元でそうささやくと、女の嘘を一枚ずつ丁寧に剥がしはじめた。

こんにちは、たわら(@Whale_circus)です。

「嫌われてなんぼだよ」、「誰とでも仲良くするとバカをみる」なんて言葉に出会うことがあります。周りの人に気を使いながら過ごす日々のなかで、ふっとため息をついて、疲れている自分に気づく。そんなときに、「誰とでも仲良くしてはいけない」なんて言われると、「わかってるけど、それができれば問題ないよ」と思うかもしれません。

しかしそもそもどのような根拠があってそんな言説が生まれるのか考えたことはありますか? なんとなくわかるけど、、、と思う方が多いと思います。

そのメカニズムを安冨歩氏は「生きる技法」(2011 青灯社)のなかで納得のいく説明をシンプルにしてくれます。

以前は自立について紹介しました。

【自立とは他者への依存の脱却ではない】安冨歩「生きる技法」の「自立」について

今回は「友達」、「創造的構え」「破壊的構え」をキーワードにそのメカニズムを紹介します。

1 「創造的構え」、「破壊的構え」、「葛藤の構え」

友達にするのは「創造的な構え」を持つ人

安富氏は他者への接し方を3つに類型化します。「創造的構え」、「破壊的構え」、「葛藤の構え」です。「誰とでも仲良くしてはいけない」という主張のメカニズムを理解するにはこの3つの構えについて理解する必要があります。

まず、友達にするのは「創造的な構え」の人と氏は主張します。どんな人なのか? お互いに人間として尊重しあう態度を持っている人のことを指します。

命題1-7 互いに人間として尊重しあう、とは、お互いの真の姿を常に探求し、勝手な像を押し付けない

「生きる技法」安冨歩 2011 青灯社 pp41

大切なのは勝手な像を押し付けない、ということです。地位の高い人でも機械的に「偉い人扱い」しないということです。聞いた話ですが、ダウンタウンの浜田雅功は、特別な地位にある人にも自然体に接することで、いつも自動的に「偉い人扱い」されている方々に好かれる、そうです。

周りに何人かいませんか? おいおい自然体過ぎやしないか? みたいな人。そういう人は「創造的構え」に近い態度を持っていると思います。

そんな「どんな立場に違いがあろうとも、お互いの真の姿、真の考え、真の感覚を探求しあう pp42」関係にある人が友達といえるのです。

 

「破壊的構え」の人には近づかない

「破壊的」構えを持つ人は、自分勝手に相手にレッテルを貼って、そのように扱い、そして利用します。

「ああ、こいつ〇〇出身なんだ。だから、、、だろう」、「こいつ〇〇年代生まれか。だから、、、だろう。」「彼は体育会系出身だから、、、だろう」のようにイメージを貼り付け、その型通りに理解するのです。

さらに、「きみはこういう人なんだろう」、「お前あのとき〇〇って言ったじゃないか」

といって、罪悪感を持たせて、自分の都合の良いように扱うのです。

そうすると、「あなたの時間や能力や友人関係やお金や容姿など、あなたの生きるための資源を勝手に使われることになります pp43」と安冨氏は説明します。

身の回りの組織にこういう方はいませんか? 安冨氏によれば「破壊的な構え」を持つ人は、弱者を攻撃し、権力に従順という特徴を持っているので社会的「成功」を収めやすいそうです。

 

たいていの人が、その2つの極の間の「葛藤の構え」を持つ

もちろんたいていの人間は二極のグラデーションの中に位置します。どちらかの割合が高く、どちらかの割合が低いのです。単純な二元論に陥らないところが丁寧だと僕は思いました。

この構えの差は、幼少期に他者から受け入れられた経験の有無あるいは質と量によると著者はみています。受け入れられた経験が多いと「創造的な構え」を持ちやすく、受け入れられた経験が少ないと「破壊的な」構えをもちやすいのです。

 

2 誰とでも仲良くするとどうなるのか

「破壊的な構え」の人が残ってしまう

ようやくメカニズムの説明に入ります。ここまで理解できていれば難しくはありません。つまり、誰とでも仲良くすると、結果的に、あなたは「破壊的な構え」の人に囲まれてしまうのです。

「破壊的な構え」の人はあなたを利用しようと試みますので、自然と接触の機会が増えます。それを見た「創造的な構え」の人は、あなたはああいう感じの人と付き合いたいんだ、と理解して黙って去ってしまうのです。

こうしてあなたは誰とでも仲良くする選択をしたことによって、「破壊的な構え」の人とのみ付き合うことになり、さまざまなイメージを貼り付けられ、振り回されてしまい、貴重な資源を奪われてしまうのです。だから次の命題が成り立つのです。

命題2 誰とでも仲良くしてはいけない

同 pp42

では「破壊的な構え」の人を前にしたらどうすればよいでしょうか

 

「破壊的な構え」の人との接し方

常に争う必要はない、と安冨氏は説きます。適当に距離をとりましょう、と。しかしそれでも搾取が続くようであれば、そしてそれが不愉快である場合には、勇気を持って講義しなければなりません。

「創造的な構え」を呼びかける、という戦略をとるべきだが、それは簡単ではないと安冨氏は続けます。まず、自分が相手に心を開き、考えや感覚を探る「創造的構え」で接し、相手の「創造的構え」を引き出す、というやり方です。

問題なのは、この戦略をとると、相手が自ら隠し通していた「恐怖」をさらけ出すことになるからです。というのは、「破壊的な構え」の人は、自分の「創造的な構え」を抑圧して生きているからです。

社会のなかで生きていくために一種の仮面として「破壊的な構え」を貫いているのに、そうではない部分を引き出されることになります。言い換えれば、なんとかして一生懸命押さえつけている感情を直視させられるので、うろたえて、恐怖してしまうのです。

たわらが考えるに、おそらくこんな風に。

「あたしだって、学校行きたくない日くらいあったわよ! でもそれじゃやっていけないじゃない」

「おれだって、会社辞めようと思ったことあったさ! でもそうするほかしかたないじゃないか」

「こんなこと意味のないことやりたくないよ! でもみんな自分押し殺して、生活してるんだ!」

では、「破壊的な構え」の人を遠ざけることに成功したら、どうすればよいのでしょうか。

 

「創造的構え」の人に近付く

「創造的な構え」の人と友達になりましょう。そして、

命題2-6 友だちは、友だちに紹介してもらえばよい

同 pp49

のです。1人の友達から、3人の友達を紹介してもらい、さらにまたそれぞれから3人紹介してもらう、、、、そんな連鎖反応を起こしましょう。

安冨氏はいいます。3人の信頼できる友達がいれば「孤独」を感じることはないし、9人もそのような友達がいれば十分に自立しているといえる、と。次元に五右衛門に不二子がいるからルパンは「孤独」でないですね。銭形もいますし。

「友達」何人いますか? 僕は少なくとも1人はいます(!)

 

3 あなたの構えは?

まずは自分の葛藤の構えのバランスを考える

著作のこの箇所をはじめて読んだときは、なるほど「誰とも仲良くしてはかえって、ダメ」のメカニズムはこうだったんだ、と納得しました。そして、身近な人間を考えて、あの人は「破壊的な構え」だな。あの人もそうだな。「創造的な構え」の人は、、、あの人くらいか。そんな風にこの理論を持って、人間関係を精査していました。

でも、僕はどうなんだろう、とふと思いました。部分的とはいえ僕も「破壊的な構え」を持っているんじゃないか、と。

「あいつはこの集団の中で、これくらいの地位だから、ちょっといじるか」「この人は僕より年配だから、とりあえずかしこまっとこう」 こんな風に考えている自分に思い当たったのです。

人の振り見て我が振り直せ、ではないですが、まずは自分の「構え」を見直すことからはじめるべきなのではないでしょうか。

 

「破壊的な構え」の人から離れ「創造的な構え」の人へ近づきましょう

「破壊的な構えの人に嫌われることが、創造的構えの人に愛される条件です pp56」とまで言い切ります。

嫌われるのを恐れてはいけません。破壊的構えの人に、嫌われるを恐れてはならないのです。

命題2-14 嫌われるのを恐れると、誰にも愛されない

同 pp56

相手の感覚を探求するのを止めて、思考を停止させてはならないのです。「創造的構え」を持ちましょう。

 

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら