【村上春樹・ダウンタウン・甲本ヒロト・真島昌利】自分の影響を受けた人物とその理由は明確ですか?

「さて――」名探偵は古い友人のやさしい嘘を暴かなければならなかった。

こんにちは、たわら(@Whale_circus)です。

あなたはどんな人に影響を受けてきましたか? そう聞かれて即答できますか。そしてその理由を説明できますか。僕はいまいち自信がありません。影響を受けた人物や作品を挙げることは難しくありません。ただ、具体的にどんなことに影響を与えられたのか? と尋ねられると頭を抱えてしまいます。深く考え込んでしまうのです。

今回は、これまで生きてきたなかで影響を受けた人物を、一部ですがまとめてみます。自分が心惹かれるものを明確にすることで、自己認識を深め、行動する際の判断基準として活用できます。きっと新しい友人との出会いのきっかけになるかもしれません。

村上春樹、ダウンタウン松本人志、甲本ヒロト・真島昌利のロックバンドに僕は影響を受けた、と断言します。

1 村上春樹

ベールで隠されているもの

予備校生時代に国語の講師が「ねじまき鳥クロニクル」を受講生に勧めていました。それがきっかけで、小説という大きい存在が、人生に登場しました。

なかなかすんなり文体になじめなかった覚えがありますが、読みはじめてすぐに、「何か大事なことを伝えている」という直観がありました。ただそれがわかりませんでした。

作品にしばしば繰り返し登場する「影」、「井戸」、「壁」は何を象徴しているんだろうかと。それらは魅力的な謎として僕の目に映りました。そしてそれらを理解することができれば、自分が生きている世界を正しく解釈できるはずだ、と確信したのです。

それから「この人の見ている世界の光景を見たい」という動機で、著作を読み続けました。気になる作品に出会うと、その作家の作品を可能な限り読み通す、という癖はこのときに身についたようです。

クールな比喩とセリフ

賛否両論ありますが、僕は彼の比喩やセリフが好きです。かっこつけすぎ、と批判される方もいるでしょうが、小説だからいいんじゃない、というのが僕の意見です。

凡庸さというのは白い上着について宿命的なしみと同じなのだ。一度ついたものは永遠に落ちない。

「不公平なのね」

「原理的に人生というのは不公平なんだ」と僕は言った。

「ダンス・ダンス・ダンス (下)」 村上春樹 2004 講談社文庫 pp236-237

人生というのは不公平なんだ、と当時僕は素直に飲み込んだ。13歳の女の子と30代の男性の会話として現実にありうるかどうかはわからないけど。

 

不確実性の許容

はじめて読み通したときは、吐き気がしました。比喩ではなく、本当に吐き気がしたのです。「問題が解決されない」ということに対する吐き気です。それでも著作を読み進めてこう納得したのです。

すべてが理解できるわけではない。理解できない存在も生きていく上で重要な役割がある」と。

羊男、壁抜け、地下世界などなどその成り立ちが説明されない現象が物語で重要な立ち回りや装置であることは小説を読めばわかります。不確実なものを許容する態度を学んだと思います。

ただおかげで、どんなときも簡単に答えを出さないようになってしまいました。すぐに回答をしないといけない場面でも。未熟です。

 

2 ダウンタウン松本人志

はがきコーナーの瞬発力

同じく予備時代にどっぷりはまりました。特に「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」のはがきコーナーは繰り返し見ては腹を抱えて笑いました。

「ジャニーさんからの電話の内容は」、「松井秀喜が来シーズン活躍するための、かきくけこ」が個人的に好きです。

あの発想と瞬発力はどうやって生まれているんだろう。頭の中を除いてみたい人の一人です。

 

漫才「子供電話相談室」

ダウンタウンの昔の漫才に「子供電話相談室」というネタがあります。松本人志が純粋すぎる子供を演じ、浜田雅功が質問に答えるというコント漫才です。僕はこれをはじめて見たときに松本人志ってすごいや、とストレートな感想をいだきました。

「キリンはどうして首が長いの?」

「3時のおやつが待ちきれないから。首をなが~くして待ってるんだよ」

みたいなやりとりがしばらく続くと、松本少年の純粋性があらわになります。

「カメって誰なん?」

「クマって俺なん?」

「カメって明日なん?」

このボケのストレートさに打ちのめされてしまったのです。「ガキなんてこんなもんやで」とその後に続きます。あまりにも突拍子もないボケですが、染み付いてしまった言葉の前提の存在を示唆しています。ありえない質問だと一蹴することは簡単ですが、それはすでに日本語の言語構造を内面化しているからです。

そこに笑いを仕掛けるのか、と関心してしまいます。

 

常識をひっくり返す

はがきコーナーに顕著ですが、そっちの方向にボケるのか! と一瞬の驚きの後に笑いを感じます。地と図を入れ替えたり、思考を水平展開したりとその縦横無尽な発想に脱帽してしまいます。もちろん声を出し方や間をとる技術も人並み外れているのでしょうが、僕には解説なんてできません。

ただ、あらゆるものを疑い、変換してみたらどうなるんだろう、という考え方をするようになりました。なるべく頭や体に染み込んでいるものを相対化してみる態度はダウンタウンのトークをたくさんみたあの時代に身に付けたのだろう、と思います。

 

3 甲本ヒロト・真島昌利らのロックバンド

ほんとうのことをやりたいようにやる

甲本ヒロト・真島昌利のお二人はザ・ブルーハーツ、ザ・ハイロウズ、そして現在ザ・クロマニヨンズのボーカルとギターとして活躍しています。彼ら二人が中心となったロックバンドの曲が昔から好きでした。

彼らの魅力を語り尽くすことは簡単ではないですが、ここで2つだけ紹介したいです。

1つ目は、心から好きなことをしている、ということを体の奥の魂から足の先までを使って表現していることです。甲本ヒロトは何かに突き動かされるように目を見開き、舌を突き出し、体全体でステージを跳ね回ります。真島昌利はバンダナを頭に巻き、Tシャツの襟をやぶき、やさしく微笑みます。ああ、心から好きなことをするってこんなに楽しそうで幸福なんだ、と思わせてくれます。

嘘をつかず、ほんとうに大切なことを歌う、というのが彼らの魅力の2つ目です。大切なことをわかりやすく、簡単に、面白く伝えてくれるからです。真理というとかたいですが、生きていくうえで忘れてはいけないこと、そんな大切なことを、簡単で少ない言葉で力強く歌ってくれます。

 

おすすめの歌詞

おすすめの歌詞は数え切れないほどたくさんありますが、ごく一部ですが紹介します。

ヒマラヤほどの消しゴムひとつ

楽しい事をたくさんしたい

ミサイルほどのペンを片手に

おもしろい事をたくさんしたい

ザ・ブルーハーツ 「1000のバイオリン」 作詞・作曲 真島昌利

まずもってタイトルがいいです。神秘的です。好きなことをやるなら、最高に大きいスケールでやるぐらいの覚悟でいこうぜ、ってメッセージをびりびりと感じます。

心のないやさしさは敗北に似てる

ザ・ハイロウズ 「青春」 作詞・作曲 真島昌利

胸に刻みたい一言です。松本人志主演ドラマ「伝説の教師」のエンディングテーマです。このドラマも面白いので是非観てください。

正しい道だけを選んで 選んでるうちに日が暮れて

立ち止まったまま動かない 結局何にもやらないなら

有罪 有罪 有罪 重罪

ザ・ハイロウズ 「罪と罰」 作詞・作曲 甲本ヒロト

正しい選択をしなければ、と考えすぎてしまってはいけない、ということですね。

ただ生きる 生きてやる

地上で眠り目を覚ます

エイトビート エイトビート

ザ・クロマニヨンズ 「エイトビート」 作詞・作曲 甲本ヒロト

自ら死に向かってはいけません。生きる、ただ生きる、その行為を全面的に肯定しているように思えます。地上で眠って、目を覚まさなければいけないのです。

いずれも、本当のことを、短く、簡単な言葉で歌っています。

 

3人に共通するもの

この3人に共通するものは何かと考えると、「大切なものを探求する姿勢」だと思います。それぞれ乗り物が違うだけなのかもしれません。

村上春樹は「物語」、松本人志は「お笑い」、甲本ヒロト・真島昌利は「ロックンロール」というそれぞれが自分の心と体が反応したものに乗って、まだ見えない、まだ知らない、だけど僕らにとって大切な何かを探求しているように思えます。

向こう側からエネルギーを【~ヨーロッパ思想を読み解くーー何が近代科学を生んだか~】

なぜって、探求の道それ自体が楽しく、さらにそこで得られた新しいものはさらなる宝物の在り処の地図であるからだと思います。向こう側にはまだまだ肥沃の地が広がっています。僕も物語という乗り物を作り上げ、未開の地へ旅立ちたいですね。

みなさんの乗り物はなんですか?

 

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら