【世界観を見直す】「小論文に学ぶ」に20世紀の知の変動を学ぶ

「さて――」名探偵は被害者が地球儀に隠したメッセージを読み解きはじめた。

自分オリジナルの世界観をつくるには、まずベースとなるものが必要です。どんな素晴らしい彫刻でも、まずはごつごつしていても石がなければ作品を作れません。

「小論文を学ぶ」(長尾達也 2001 山川出版)は小論文の参考書ですが、学問の知の流れを俯瞰的にまとめ、一般的な世界観を提供してくれます。ターゲットが高校生なので、知の流れをわかりやすくまとめています。ただ当時高校生の僕には到底理解が追いつかない代物でした。恥ずかしながら、30を目前にして何とか理解できるレベルまで到達しました。

約20年前の出版物ですので、最前線の知は反映されていません。しかし変動している部分についてはこれからの読書で都度ヴァージョンアップすれば問題ないでしょう。ともかく20世紀の知の変動を一冊にまとめているので、世界観のベースをつくるには最適の一冊です。

著者は20世紀の知の変動を4つのキーワードで概略を説明しています。「二元論から一元論へ」「分析原理から統合原理へ」「意識(理性)から言語(構造)へ」「自我から共同体へ」。

今回は20世紀の知のあり方の変動と「二元論から一元論」についてみていきます。

 

1 20世紀の知の変動 基礎的な知から臨床的かつ総合的な知へ

著者によれば、20世紀に起きた知のあり方は「基礎的な知から臨床的かつ総合的な知へ」変容しています。

基礎的な知とは、原理原則を重んじ、現実の問題を解決することに関心をむけず、理論を構築することのみに関心を置いている学問のあり方を指します。また学部ごとに閉鎖性を保ち、学部を横断する研究姿勢はとられませんでした。

しかし1980年代頃から新たな局面に入ったと著者は解説しています。基礎的な知から臨床的であると同時に総合的な知へと変化してきました。

学問の原理原則にこだわるのではなく、社会問題に対し実際的かつ実践的な観点からアプローチし、現実問題の解決を目的とする学問を臨床的な知と呼びます。また、社会問題を解決するためにあらゆる学問の成果を参考にする方法論が採用されるようになったのです

20世紀に、知は、従来の基礎的な知から現実問題を解決するための臨床的で総合的な知へと変容したのです。

 

2 二元論から一元論へ

その変動の概略を4つのキーワードで著者は解説します。1つ目が「二元論から一元論へ」。

二元論とは「物心二元論」や「心身二元論」などのことを指します。物事を2つの側面に分けて理解しようとする思考法のことです。自然/人間、男/女、心/体、善/悪などが挙げることができるでしょう。

二元論は、物質原理と精神原理を切り離し、物質原理を特に強調してきました。その結果として、自然破壊による生態系のバランスを損なう「環境問題」、大量殺戮による「帝国主義」などを生み出すことになったのです。(このあたりの論理については別の記事にあらためて詳細に検討します)

著者は二元論という思考方法が諸悪の根源であると断定しています。

20世紀に人類に突きつけられた大問題というのは、結局のところ、物心二元論にもとづく科学・技術によって生み出された問題である。

長尾達也 2001 「小論文を学ぶ」山川出版  pp52

その克服のために、物質と精神を切り離さない思考法や、物質循環のシステムを考案したり、と20世紀的知は取り組んでいるのです。

 

しばらく「小論文を学ぶ」から近代的知を批判的に検討し、新しい思考法について勉強したいと思います。

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら