【世界観を見直す】「小論文に学ぶ」に20世紀の知の変動を学ぶ④【自我から共同体へ】

「さて――」名探偵は聴衆を見渡しながらつぶやいた。

ツイッターで小説執筆の文字数を毎日つぶやいている、たわら(@Whale_circus)です。

長尾達也「小論文を学ぶ」は20世紀の知の変動を4つのキーワードとして解説しています。「二元論から一元論」、「分析原理から統合原理へ」、「意識(理性)から言語(構造)へ」、「自我から共同体へ」の4つです。

前回の記事では「意識(理性)から言語(構造)へ」をまとめました、今回は「自我から共同体へ」を学び、近代の知の変容の全貌を見渡します。

現代の知の全体像を今回の記事でカバーすることができます。今後はそれぞれのトピックに深掘りする記事を書いていこうと思います。

【世界観を見直す】「小論文に学ぶ」に20世紀の知の変動を学ぶ③【意識(理性)から言語(構造)へ】

1 自我原理に基づく近代の思考法

近代は自我原理を根底に据えています。例えば、基本的人権という近代の概念は、個人単位の権利です。近代刑法は集団には適用されず、個人単位で適用されます。

このように近代社会はデカルトにはじまる自我原理を根っこにもちます。分析的思考を生み出した近代は、精神と自然を二分割し、精神(自我)に優位性を見出し、自我原理に達したのです。

自我原理とは自我が最優先ということです。この場合他者をどう考えているのでしょうか。近代社会においては、他者はさておき、自分を大切にする個人主義に基づきます。

他者よりも自我を、他人よりも自分を、というのが近代個人主義のホンネなのである。

長尾達也 2001 「小論文を学ぶ」pp56

他者をないがしろにしているわけではありません。他者も自己同様に大切にしようとします。しかし原理的には自我原理に基づいているので、他者は自己内部において「共感」や「同情」の対象という位置づけになります。つまり自我が共感や同情を喚起する条件でのみ、他者を尊重するということです。

このような思考を独我論と呼びます。独我論的思考は内観方法を生み出しました。自己内部を観察し、主観的な反省に意味を持たせる方法です。言い換えれば、物事を主観内部でのみ思考する方法です。このような思考法は近代の特徴であります。

この主観・自我に事柄を閉じ込める近代の思考法を現代知は乗り越えようとします。

 

2 主観を超えて思考する

主観に閉じこもり思考する方法を現代知は見直しています。

主観を超えて、共同主観性や身体性が意味を持ち始めています。私を最優先するのではなく、みんなを第一義的な存在とする考え方や、精神を中心に考えるのではなく、身体に注目して思考するようになってきているのです。

自我内部に閉ざされた思考から他我一般を前提とした思考へと大きく変貌しているのが、現代の知の一大特徴なのである。

長尾達也 2001 「小論文を学ぶ」pp57

具体的な話は別の記事でまとめるつもりです。

 

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら