【小説執筆が行き詰まったら最初から読み返す】丸谷才一に書き方のコツを学ぶ

「さて――」目が覚めてから現在までのあらゆる事実を名探偵はもう一度丹念に洗い出した。

こんにちは、たわら(@Whale_circus)です。ツイッターで小説執筆の文字数を毎日つぶやいています。

毎日小説を一文字だけでも書けばOKのルールの元で執筆しています。それでも小説の方向性がわからなくなり、一文字もかけないときがあります。

また、なんだかこのまま進んだらよくないだろう、という実感を持つときがあります。

そんなときはいったん書き進めるのを辞めて、途中までの部分を印刷して最初から読み直しています。

これで結構打開策が見つかることがあります。無意識にこのような作業をしていた、と考えていましたが、丸谷才一『思考のレッスン』をパラパラと読み返してみると同じような言及がなされていたので、そこから知らず知らずのうちに学習していたのかもしれません。

1 最初から読み直すことでエネルギーを得ることができる

丸谷才一は「書き方のコツ」という章で行き詰まったときの実践的なコツを紹介しています。

いろんな手があるけれど、一番手っ取り早くて、役に立つのは、いままで書いた部分を初めから読み返すことなんですね。急がば回れで、いままで書いたところを読み返す。僕の体験では、これが一番早い。

丸谷才一 2002『思考のレッスン』文春文庫 pp231

 

立ち止まって最初から物語を読み返すことを推奨しています。でも「みんなあまりしたがらない」そうだとも。頭から読み返すと、作家としての実力に失望するかもしれない、という恐怖があるのかもしれません。

この方法のメリットはエネルギーを得ることができることです。

 ここまで書いてきたエネルギーをもう一ペん吸収し、それを受け継ぐようにして先へ進む。あるいはいままでのところでよくないところを反省して、そこを書き直したり、先で補ったりする。つまり自分の書いた文章を読み直すことは、一種の批評であって、その自己批評によってもう一人の自分との対話をする。そうやって書き続けて行くことが大切なんですね。

上掲 pp231

これは物書きなら実感することなのでしょう。なぜなら世界の端っこで小説を目指す僕でも納得できるからです。

このあたりはよく書けていて面白いな、という部分を見つけると元気が出て、前に進んでいく勇気が湧きます。その部分を他人が読んで同じように評価するかはもちろんわかりません。ですが、とりあえず自分が面白いならいいんじゃないか、というスタンスの僕にとってはその記述箇所からエネルギーをもらうことができます。

丸谷才一が指摘するように、読み返すことでエネルギーを得ることができます。しかし効用はそれだけではありません。

それまでの物語が、つながりを自然に作者に要求することがあります。

 

2 唐突にビジョンが浮かぶ

読み返してみると、ときたま、突然シーンが頭に浮かびます。このシーンに物語は進むことになるだろう、という一里塚が映像となって飛来するのです。

小説を書いていてうれしくなる瞬間です。物語はこっちに向かいたがっているのだろう、という漠然とした直観があるのです。物語が僕を超えた瞬間なのではないかと考えています。鳥肌がたちます。

今まではそれが浮かんだらまっしぐらに物語を進めていました。が、それを書きたいがために登場人物を不自然に振る舞わせてしまったことが何度もありました。

突如頭に浮かぶシーンに向かうことは間違ってはいないはずです。頭で考えるというより、体全体でそのように理解するからです。ただし、地に足の着いた人間がそのシーンに向かって自然に歩むために注意しなければいけません。

小説を読み返すことで、別のシーンが頭に浮かび、書き続けることができるのです。

 

まとめ

現時点までの小説を読み返すことは、自己批評につながります。よく書けている箇所やいまいちなところを反省することでエネルギーを得ることができます。それに加えて、小説を振り返ることは、別のシーンへのつながりを示唆することがあるのです。

行き詰まったら小説を読み返してみましょう。

 

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら