【面白い小説の条件】あなたはその小説にうねりを感じますか?

「さて――」船の揺れにヒントを得た名探偵はトリックを見破った。

こんにちは、たわら(@Whale_circus)です。

これだけは欠かせないというこだわりに人柄が現れます。例えば映画なら、派手なアクションシーン、速いテンポ、甘いセリフ、男女の絡み合う運命、流血、ハッピーエンドなどあなたがこだわりを見いだせる構成要素はたくさんあります。その優先順位にあなたという人間が漂っているのかもしれません。

今回はたわらが好きな小説にこれだけは欠かせない、という要素を紹介します。これがあるから好きなんだよな、と思うような欠くことのできない条件です。

それは大いなるうねりです。

 

うねりはあなたを離さない

うねりとはある時点、ある場所で風によって直接引き起こされない波のことを指します。卑近な例を挙げれば、流れるプールの「流れ」を作っている箇所付近で体ごと持っていこうとするあの水流のことです。水面は穏やかでも、足元の噴射口から勢いよく水が吹き出しています。浮き輪を持ってあの流れにのった経験はありませんか。

このうねりを感じさせる小説が優れた小説だと確信しています。具体的にみていきましょう。

ある会話があり、ある描写が続き、場面が次へと移る。それはいたって平凡なシーンかもしれません。しかしこのシーンがあなたにある予感を感じさせることができるならばその小説はうねりを含んでいるといえます。

結末に向かっている予感です。たんたんと続く場面それ自体はありふれたシーンとして読むことができ、さらに同時に、地殻変動がゆるやかに起きていることを予感させるのです。それが小説のうねりです。水面は穏やかだけど、足元では水流が生まれているように。

その予感は、まだ見ぬ結末に確かに向かっているというありありとした予感です。

不確かな結末に向かう確かな予感はあなたの心を掴んで離しません。

たわらは村上春樹の「1Q84」を読んでいるときに強く感じました。自分自身の身の丈よりはるかに大きい相撲取りにがっぷりよつに組んでいるかのようでした。ページをめくるたびに関取は少しずつ少しずつ力をくわえ、たわらを宙に浮かせてある一点に向かって投げようと体を持ち上げようとしてきます。不確かな結末に向かって体ごと有無を言わさず持っていこうとする力に抗うことは不可能でした。

大いなるうねりを感じるほど面白かったということです。

 

何が物語にうねりを与えるのか? それはまた別の記事にします。

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら