【面白い小説の条件】物語にうねりを与えるものは何か?

「さて――」名探偵の頭のなかであらゆる記憶の断片が一点に集約された。

こんにちは、たわら(@Whale_circus)です。

優れた小説にはおおいなるうねりがなければならない、というのが僕の持論です

うねりとは何か、それは不確かな結末に確かに向かっているという予感です。あらゆる描写の奥底で予感が渦巻いている物語には、うねりが伏在しているといえます。そのうねりが大きければ大きいほど素敵な物語であるように僕は思います。

【面白い小説の条件】あなたはその小説にうねりを感じますか?

このうねりは何が生み出すのでしょうか。

うねりは海面には生成されず、海中で発生するものです。物語のうねりもこれにならいます。つまり、表立った場面の進行のその奥で、不確かな結末に向かう確かな予感があるのです。

すなわち、まず表立ったシーンが確固として存在する必要があります。海面、あるいは地上で物語がきちんと形成されているということです。誰がそのシーンを読んでも、場面進行は滞りなく、風景描写も適切で、登場人物達が自然に会話している。

うねりは海面や地上の物語ではなく条件がそろったときに奥底で生まれます。すなわち地上と地下の物語、あるいは海面と深海の物語が一場面に存在していることになります。意識と無意識のように。

何がうねりを生むのか? どのようにうねりを読者は感じるのだろうか?

その答えは、過去、ではないかと僕は考えています。

過去にはさまざまな種類が存在します。

  • 登場人物の過去

まずは登場人物の過去、言い換えれば、記憶が挙げられます。生い立ち、幼少期の経験、親からの教育、学校での体験、見てきたもの、見てこなかったもの、それらの過去が登場人物を動かします。

登場人物の過去が単発で、あるいは複数の過去が絡み合う形で、ひとつの結末へと向かうときに、物語にうねりを読者は感じるのではないか、というのが僕の意見です。何でもないような場面でも、登場人物達の過去が僕らに不確かな結末を予感させるのです。

  • 場の過去

場の過去、を次に挙げることができます。場の特殊性、場のルール、場の物語と言い換えることができるでしょう。神社仏閣、学校、廃病院、屋敷などがもたらす過去の物語です。

例えば、その場所で目が合った者同士は憎み合うことになる、という言い伝えのある御神木などです。ただ木の下で遊んでいる子どもたちにそのような場所の持つ過去性が覆いかぶさることで、今後の物語の展開に力を与えるうねりと化すのではないでしょうか。

  • 過去の大きな物語

大きな過去の物語、を最後に紹介します。神話や伝説といった類の大いなる過去の物語のことです。ヤマタノオロチ伝説やナルキッソスの神話など世界各地に神話が存在しています。また、国の歴史もこのクラスに入るでしょう。

物語の中外に限らず、大きな過去の物語に包まれて作中の物語が展開されるとき、その作品には大いなるうねりがあると評することができるはずです。何でもないような生活場面の展開が神話や伝説の展開に対応したり、一国の歴史が主人公の成り立ちに避けざる影響を与えていたりすると、僕はうねりを感じざるを得ません。

難しいところですが、あからさまだと、読者は本を閉じてしまいます。

登場人物の過去、場の過去、大きな過去の物語、これら3つが1つでもうまく機能すれば物語にうねりが発生するのではないか、というのが僕の現時点での仮説になります。

共通点は過去です。過去が現在の物語に覆いかぶさっている、それがポイントのようです

さらに正確にいえば、覆いかぶさっている、ここに何かが潜んでいるようです。

 

うねりを生む条件は他にもあると思いますが、僕にはまだこれしか見いだせません。

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら