向こう側からエネルギーを【~ヨーロッパ思想を読み解くーー何が近代科学を生んだか~】

「とっつきにくそうだけど、何かとても大事なことが学べそう」な予感に従うことが好きな僕が見つけた、哲学とその有用性がわかる格好の哲学入門書をご紹介します。

ヨーロッパ思想を読み解くーー何が近代科学を生んだか 古田博司 ちくま新書

哲学入門書をいくつか読んだけど、どうもしっくりこない、という方にはぴったり。

『「人生には無限の可能性はない」。しかし、「無限の存在へと近づく可能性は健全すぎるほど健全にある」』pp10 という力強い前書きから始まる。

結論から言えば、この本の主張は、「向こう側を認識し、直観・超越、マーカー法、接近法で、そこから力を得よ」の一言にまとめることができる。

「向こう側」これがこの本のキーワード。向こう側を認識し、向こう側をとらえようとする試みが科学を生んだのだ、と著者は論じます。

1 向こう側を認める西洋の思考様式

向こう側とは何か。我々人間の感覚器で切り取ることのできない世界のこと。本書で繰り返し指摘されるが、あの世のことではない。あの世はこの世にはない世界のことであり、一方で向こう側はこの世にあるけど、みえない世界のこと。

ギリシャ哲学者アリストテレスはかつて鼻の形がなぜ異なるのかを次のように考えた。鼻の背後に見えない力があって、それがこの世の材料に影響を与えているのだ、と。ここで見えない力やら存在のことを、哲学ではイデアとかエイドスなどと言い表す。

この見えない力や存在がある場所のことを向こう側という。この思考法が西洋哲学の1つの流れとなり、実験と観察による科学的方法で、見えない存在を発見していく自然科学を発達させていく。アリストテレスがエイドスと指したものを、DNAや素粒子やらに確定していくことになる。

ちなみに日本には向こう側という認識がなかったため、哲学は発達しなかったと著者は断じる。

2 向こう側をめぐるイギリス哲学、ドイツ哲学、フランス哲学

イギリス哲学は、人間は感覚器を超えることができないので向こう側の世界、つまり真理には到達できないことを認める。だが、向こう側とこちら側は似ていると考え、そのマーカーを見つけて、網羅し、類型化を試みる。現実妥当性の有無を疑わせないほど、マーカーを総ざらいするのだ。向こう側には至れないが、納得できる共通認識を生むことができる。それを概念として、思索を深める方向に進む。

一方で、ドイツ哲学、フランス哲学は、向こう側に到達しようと試みるが上手くいかなかった、というのが著者の見解だ。カント、シェリング、シュライエルマッハー、ニーチェ、ヘーゲル、フッサール、ハイデガー、デリダ、、、という名だたる哲学者がどう戦ったのかを解説していく。向こう側という焦点が明確なので、理解しやすい。

3 向こう側から力を得る~直観・超越、マーカー法、接近法~

向こう側はあるが、到達できない。だが、力を得ることができる、と筆者は言う。

その方法が3つ紹介されている。

① 直観・超越法とは、向こう側から突然にこちら側にくる直観を得て、経験を超えでて、無理をすることで、結果としてこちら側の役に立つ理論や法則をもたらすこと

② マーカー法とは、こちら側のマーカーを経験事象から、向こう側の似通ったマーカーを見つけ、網羅し、類型化すること

③ 接近法とは限りなく試行を繰り返し、向こう側ににじり寄る方法

これらの方法を使用して、「向こう側のために生きる」ことを我々は無自覚的に行ってきた。例えば、科学で向こう側ににじり寄り、数学で超越し、ビジネスで直観する。これからの時代は、そのように自覚的に臨み、行動することが有用であるのだ。

さいごに

僕は、物語の向こう側のために生きていく。







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