【前田安正「3行しか書けない人のための文章教室」】「なぜ」を中心に文を足していくと、長い文章が書けるようになる

「さて――」名探偵は観察したあらゆる事象が生起した理由を考え続けて一つの答えを得た。

こんにちは、たわら(@Whale_circus)です。

小説の書き直しをしている。いざ着手すると文章にものたらなさを感じるときがある。文学的にいまいちなのかもしれないが、それ以前に文章がわかりにくいのかもしれない。

そこで書棚を漁って文章のわかりやすい書き方を紹介している本を再読した。前田安正「3行しか書けない人のための文章教室」。朝日新聞のベテラン校閲記者が教える、すぐに使える「書き方」の基本、と帯に書かれている。

基礎を極めると奥義になる、とサッカーをしていると思うことがある。止める、蹴る。ただそれだけの技術の差が圧倒的なパフォーマンスの差を生むみます。

小説は文が住み重なった文章です。文章の書き方を学び直すことで、より明確に物語の内容を伝えることができるでしょう。

1 主語と述語を明確にした短い文を積み重ねる

「主語と述語の関係を明確にした短い文をつないで、必要な情報を加え」る方法をこの本は教えてくれます。

伝えたいメッセージを相手に届けるにはある程度の文章量が必要です。しかし長いを書くことを避けるように著者は指摘しています。一文が長くなると、言葉同士の関係性が複雑になってしまうからです。

基本中の基本です。しかし文章を書いていると忘れてしまうときがあるので注意が必要です。

必要な文を積み重ねて、まとまった文章にすることで相手に正確にメッセージが届きます。

 

2 WHYを中心に文章を展開する

5W1Hは文章の要素の基本といえます。いつ(when)、どこで(where)、だれが(who)、何を(what)、なぜ(why)、どのように(how)、ですね。

忘れがちなのが、なぜ(why)です。理由や動機がない文章はただの報告になってしまいます。例えばこんな風に。

昨日、友人と市民プールに泳いだ。とても疲れた。

で? と思いますよね。ただの「状況」報告に過ぎません。

「文章が書けない」という悩みは、往々にして「状況」を書いているだけで、それに伴う「行動」や「変化」を書き込んでいないからなのです。

前田安正 2017 「3行しか書けない人のための文章教室」pp46

人間の「行動」や「変化」を書き加えるには「なぜ、どうして」という視点が必要です。

上記の文章になぜ、どうしての視点から文を足してみます。

昨日、大学の後輩に誘われて市民プールで泳いだ。久しぶりに連絡をくれた後輩はダイエットに励んでいた。市民プールは安くて近くて利用客も少ないのだと後輩は教えてくれた。僕も運動不足だった。それに高校生だった頃に利用していた市民プールがいまどのようになっているかが気になっていた。

10年ぶりの市民プールにあからさまな経年劣化は見て取れなかった。シャワー室の匂いも洗眼水栓の温度もプールの深さも以前から変わらない。変化していたのは僕の体の方だった。

約10年ぶりにクロールを泳いだ。水を飲み込みそうになりながら25メートル泳ぐと息があがった。全身の筋肉に力が入ってしまう。鍛えている後輩は無駄な力をかけずに簡単に泳いでいる。3時間でどれくらい往復したかは覚えていない。ただ肩周りの筋肉の痛みは翌日になってもとれなかった。

どうでしょうか。どんな後輩なのか、なぜ市民プールなのか。なぜ誘いに乗ったのか。なぜ疲れたのか。どのように疲れたのか。なぜを中心に文章を書くと、元の一文をここまでふくらませることができました。

著作には上記のような例が、(もっと上手に)豊富にとりそろえてありますのでぜひご参考にしてください。

 

3 小説の推敲にもWHYをもって

現在小説の書き直しをしている。思いつくままリズムにのって書き上げたので、荒削りなのだ。さらに文章を読みやすくして物語に生命を与えたい。

そのためにはWHYの視点が必須である。なぜ登場人物はこのような行動をしているのか。どのように言葉を吐いたのか。なぜその言葉のリズムなのか。なぜ物語はその方向に進むのか。

なぜ、なぜ、なぜ。無数のなぜを現在の小説に浴びせかけるつもりだ。

地に足を着けていないと何度も指摘されてきた。なぜを追うことが足りなかったのだろう。

いまこそ基本に立ち戻り、物語を見直したい。

 

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら